世界14の音楽ストリーミングサービス徹底比較。結局どれがいいの?

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本ではまだまだ浸透していない、サブスクリプション型音楽ストリーミングサービス。しかし、世界ではそのパイを争いアップルグーグルをはじめとした世界の名立たる大企業が挙って参戦し、既にストリーミング戦国時代に突入していいといえます。果たしてこの激闘を制するのはどのサービスなのでしょうか?各サービスの提供する内容をチャート化して比較、検討しました。

 

1. 14大音楽ストリーミングサービス比較チャート

 

今回比較検討したのは音楽ストリーミング界で注目の14のサービス、料金プランの違いを含め16もの内容を調査。また、比較内容として以下のデータをチャート化しました。(*比較のため主に米におけるプランを参照しています。DeezerおよびKKBOXは米で利用できないため参考までに。)

内容説明

無料 広告付き無料プランがあるかどうか。”30日間無料”などの体験版は含まない。
月額(広告なし) サブスクリプションの月額 (*一部年会費を月割り換算)
曲数(M) カタログ数。(M = 100万)
オフライン  電波のないところで再生できるかどうか。
スキップ  曲を飛ばして次の曲にいけるかどうか。
プレイリスト  プレイリストを提供・作成できるかどうか。
Station パーソナライズド化されたラジオステーション機能の有無 (リコメンド)
アルバム アルバムごとに再生できるかどうか。
音質 最高音質値

音楽ストリーミングサービス14社比較

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2. 無料プラン、月額料金について

低価格だがユーザビリティは?

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fig1. Slacker Radio Plus VS Premium

価格に関して、iHeart Radioの “全て無料 (Clear Channelの所有するラジオステーション)” というサービスを除き、ほとんどのサービスが10ドル前後の価格帯です。その中でもPandora Radioは月額5ドルと低価格ですが、サービス自体がリコメンドラジオであってユーザーの操作要素が少ない(好きなアーティストやテーマを選択してあとは自動選曲)ので”受け身のリスナー”や”BGM”にしか向きません。
またSlacker Radio Plus (fig1.)では、もともとカタログ数が1300万曲と他社サービスより少ないことや音質が128Kbpsという厳しい品質に加え、同社のSlacker Premiumプラン(10ドル)に比べ操作制限がされています。言ってみれば “ようやく【4ドル】”という低価格を実現している印象を受けます。どちらにしても、安さだけがウリのサービスかもしれません。

低価格でも耐えうるプランが誕生?

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fig2. Rhapsody unRadio発表イベント

5ドル界隈のサービスはいまいち、という認識でしたが、先日発表(fig2.)されたRhapsody unRadioは月額5ドルという低価格ながら、耐えうるギリギリのラインをカバーしたユニークなプランを開始しました。2000万曲のカタログ数にスキップ機能、25曲までオフライン対応という工夫されたプランです。 “お金は出したくないけどサブスクリプション型音楽サービスを利用してみたい” という層が考慮し得る価格なので期待が高まります。これにより、他社も5ドル低価格プランを打ち出すかもしれません。価格競争はまだまだ続きそうです。

アマゾン、アップルも参入

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fig3. Amazon Prime Music

また、別の切り口のサービスも熱気を帯びてきそうです。米オンライン通販大手のアマゾンは自社の”年会費99ドルのプライム会員(お急ぎ便やお届け日時指定便 が追加料金なしで、無制限に使える会員制プログラム)”に含まれるサービスとして音楽ストリーミングサービス(fig3.)を開始しました。カタログ数が100万曲(ユニバーサルミュージック・グループの楽曲がない)と心細い内容ですが、プレイリストの豊富さやインターフェイスの良さがポイントといえます。

 

新音楽サービス「Amazon Prime Music」は広告に邪魔されることなく、無制限に音楽が聴くことができます。また、このサービスはプライム会員料金に含まれるので、会員には無料のサービスとなります。米アマゾンのプライム会員でないユーザーは、30日間のお試し期間が使えます。その後もサービスを利用する場合はプライム会員への登録が必要です。All DIGITAL MUSIC

 

アップルに関しては年会費25ドルiTunes Matchに含まれるサービスとしてiTunes Radioを展開しています。もともとiTunes Radioは広告が付く代わりに全て無料ですが、iTunes Match会員になることで”広告なし”になります。年会費25ドルに対し、自分の所有する楽曲がクラウド保存でき、月当たり約2ドルの広告なし音楽ストリーミングサービスを利用できるとなればかなり割がいいプランの一つといえます。さらに、先日アップル史上最高額の3000億円でBeats Musicを買収しました。アップルとBeats Musicが手を組むことによりサブスクリプション型音楽ストリーミング界で何か革命が起きそうな気配も感じます。

Apple、Beats Music Electronicsを3000億円で買収techcrunch

 

3. カタログ数、アルバム有無について

聴きたいときいつでも聴ける

“価格” と同様にユーザーがサービスを選ぶ際に重用視するポイントである、”カタログ数”。これも各社のサービスによってボリュームは異なります。忘れてはいけないのが、音楽ストリーミングサービスの醍醐味は “聴きたいときに聴きたい曲をいつでも聴ける”こと。検索したときにヒットしなければそれだけで価値は低くなってしまいます。その点、先程紹介した「Amazon Prime Music」はカタログ数が100万曲で一番少ないので “おまけ” 程度にしかユーザーは感じません。

2000万曲が最低ライン?

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fig4. Deezerのカタログ数

14社の内8社はカタログ数が2000万曲を越えています。また、フランス発のサービス”Deezer”が3500万曲(fig4.)で最多です。(unRadioではない本元のRhapsody/Napsterは全世界で3200万曲あるとの情報を発見しましたが、詳しいソースがみつからなかったので比較から外しています。)

順次カタログサイズは大きくなっていますが、現時点で2000万曲を下回る1.Prime Music 2.Pandora Radio 3.iHeart radio 4.Slacker 5.Xbox Music 6.KKBOXは少し物足りなさを感じてしまいます。ですが、国内についていえば邦楽曲のラインナップはKKBOXが独走状態ですし、Spotifyが始まろうともこのラインナップを越すことは早々ないと思います。

カタログ数が均一化したら?

どのサービスもこの激戦区でしのぎを削り合って音楽会社とカタログ契約を行っています。そして将来的にはカタログ数は団栗の背比べ状態になることが予想されます。サウンドクラウド上でしか公開していない曲は仕方ありませんが、新作に関してもカタログにのるまでの流れが以前よりもスムーズになっている印象を受けるので、ますますこの均一化の傾向は続くでしょう。

新曲も含め “どんな曲でもある” が一番の理想ではありますが、これでは業界のスタンダードにすぎません。カタログに関して言えば、今後は如何に限定楽曲を揃えるか、UI/UXで宝の山の地図を描くか、サービスイメージとしてどの著名人を起用するかが論点になってくるのではないでしょうか。

マイケルジャクソン未公開曲を先行公開

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fig5. Unlimited Musicのマイケルジャクソンプロモ

サービスの宣伝文句として”Unlimited Music”が面白いことをしていました。マイケルジャクソンの未発表曲をUnlimited Musicユーザーだけに先行公開というもの(fig5.)。ファンからすればいち早く聴きたい新曲が、特定の音楽サービス限定で公開されるとなれば必然と話題になります。このキャンペーンで有料会員がどれだけ増えたかはわかりませんが、数あるサービスの中でも少しは認知されたのではないでしょうか。こういった限定的なカタログがあるかどうかもファン獲得のキーになる気がします

 

4. プレイリスト、ステーションについて

Station機能とは?

-ユーザーの趣味嗜好を分析し最適な音楽をレコメンドする、パーソナライズド・ネットラジオサービス。
-例えば何を聴きたいか分からないという場合は、好きなジャンルやアーティスト名を入力するだけで、自分のテイストに合う音楽が自動再生されます。
ALL DIGITAL MUSIC

Pandora Radioの特徴的な機能として有名でしたが、今となればほとんどのサービスでこのステーション機能が用いられています。これはリコメンド機能がユーザーに有益な音楽経験をもたらしてくれることを証明した結果です。

また、SpotifyやRdioではさらにもう一歩踏み込んだ、ソーシャルグラフ・インタレストグラフを利用したステーションを構築することができます。つまり、興味のある人や友人の聴いてる音楽から新たな音楽を発見することが可能になりました。KKBOXはLISTEN WITHという機能でアーティストとチャットしながら音楽を楽しむ。そしてそのプレイリストはアーカイブ化されいつでも聴けるといった、ファンとってはたまらないサービスもあります。

このように時代に沿った音楽の楽しみ方を追求するサービスこそユーザーが求めるものではないでしょうか。

ステーション VS プレイリスト

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fig6. スポティファイのFIFA W杯向けプレイリスト

まずプレイリストに関して、ステーション機能とほぼ同じなのでは?という疑問もあるかと思います。確かにこの二つの機能は似ていますが、大きな違いは “次の曲がわかる” と “キュレーターによる人工的なプレイリスト” にあると思います。プレイリストを提供するサービスの中でもBeats Musicは下で説明するように新たな切り口から”状況”に合ったプレイリスト体験をもたらしてくれます。

また、Spotifyは“Billboard” などの権威あるサードパーティアプリがあることや、FIFA W杯に合わせて有名サッカー選手のプレイリストを公開 (fig6.) するなどトレンドに合わせたプレイリストでユーザー体験を豊かなものにしています。この人間味あるプレイリストはステーション機能では再現できません。ですからプレイリストとステーション機能を兼ね備えたSpotify、Rdio、Deezer、google play、KKBOX、XBOX、Slacker Premiumあたりがこの章の項目では有力です。

アップルのBeats Music買収理由?

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fig7. iTunes RadioのFeatured Station画面

Beats Musicにはステーション機能がありませんが、プレイリストに注力してきた経緯があります。キュレーターが作成したプレイリストを”ムード”や”状況”からユーザーに最適化して選んでくれます。このアプローチは彼らの最大の特徴です。現在iTunes Radioの “Featured Station(fig7.)” では見たらお分かりのように、かなりお粗末なステーションリストしかありません。これではユーザーにベストな音楽体験を提供することができないのは明白です。ですから、Beats Musicの明言する “ベストな曲を提供する力” が必要だったのかもしれません。iTunesの豊富なカタログ、ビッグプラットフォームにBeats Musicのプロダクツ、プレイリスト力が組合わさると他社には脅威でしょう。

 

スキップ再生、オフライン再生について

ユーザビリティの重要性

“音楽はタダ”という一昔前までの認識から“月額制で音楽にお金を払う”というポジティブな発想に転換した理由のひとつに【ユーザビリティ】が挙げられると思います。スキップ機能オフライン機能があることで、電波が無い地下鉄だろうがユーザーは好きな曲を存分に楽しむことができます。これにより “数千万曲を所有しているという錯覚” を生み出し業界全体のファン獲得に成功しました。

ほとんどの広告付き無料プランや低価格帯のサービスはこの両方の機能を同時に持っていません。低価格帯サービスならば現時点でRhapsody unRadioだけが “25曲まで” という制限があるものの、オフラインで楽しむことが出来ます。このように少しの制限を設けながらも “ユーザビリティ” を重視した低価格帯プランがユーザー獲得にどう影響してくるか楽しみです。

 

6. 結論

どのサービスを選ぶべきか?

国内ならKKBOX

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1年前に触ったサービスと今のサービスを比較してもその差は歴然としており、コンテンツも充実してきています。国内で楽曲数は1000万曲を突破し、洋楽も有名どころはほとんど揃っている印象。Music unlimitedがサービス終了した以上、日本ではKKBOXの独壇場といえます。そしてLINE MUSICやAWAが開始しようとも(本当に開始するのか?)、楽曲数はKKBOXに到底及ばないでしょうし、レコチョクベスト、dヒッツ、うたパスに関してはこの記事を読んでいる方の99%は使用する理由がない(察して下さい。)ので、暫定的ではありますが、日本でサブスクを利用するならKKBOXがオススメです。

海外ならSPOTIFY

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この激戦区の中でどのサービスもカタログ数、価格、機能にアイデンティティを主張することが難しくなっています。現時点では持つべき全ての機能を有し、サードパーティアプリプレイリスト機能に強い【Spotify】がユーザーに多くの”ディスカバリー体験”を提供するというポイントから海外でサブスクを利用するならオススメといえます。

【音楽 × IT】が好きな方がいれば、是非友達になりましょう!

参考
Apple、Beats MusicとBeats Electronicsを買収
Michael Jackson Exclusive New Release
T-Mobile and Rhapsody Launch Streaming-Music Service unRadio
Slacker Personal Radio
T-Mobile & Rhapsody Introduce unRadio, the Un-carrier Take on Internet Radio
Head to Head Comparison of 14 Streaming Music Services
米アマゾン、プライム会員向けに無料音楽配信サービスを開始。楽曲数100万曲で開始した理由とは?